メ殺

メタに殺される

メモ:卒論発表概要

まずはレヴュー論文の説明から。レヴュー論文では「『すべり笑い』とはどのようなものか」をレヴューしました。

 

1.きっかけ

友人Sくんが目を輝かせて面白い風の話をしてくれたが、非常につまらなかった。

その証拠に一緒にいた友人たちが全員沈黙。

が、Pくんが「すべった〜w」と笑ったことで全員爆笑。

なぜつまらない話をしたはずなのに爆笑になったのか。

大衆的な笑いであるバラエティ番組にも着目してレヴューしました。

 

2.「すべり笑い」の位置付け

志水(2000)による笑いの分類

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(ピンクマーカー部分は気にしないでください)


すべったという事実におもしろさを感じていたため「快感情を伴う楽しい笑い」であり、期待はずれといった側面もあるため「不調和の笑い」に分類されるといえる。

 

3.ユーモアのモデル

心理学において不調和の笑いはユーモアという分野で研究されている。

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不調和の笑いの生成過程を説明するものとして「不適合に関する理論」があり、これまで<不適合モデル>、<不適合-解決モデル>が提唱されてきたものの欠陥があることを伊藤(2010)が批判し、新しいモデルを提唱。

 

<不適合モデル>

予測や常識とのズレ(=不適合)がユーモアをもたらすと考える

<不適合-解決モデル>

ギャグの意味がわかる(=不適合の解決)とユーモアがもたらされる

 

これら2モデルは不適合の概念が異なる。

 

そこで伊藤が考えたモデルでは、不適合を2つに分類。

・論理的不適合:論理の欠如。解決する対象。

・構造的不適合:予測、常識とのズレ。

 

 

4.伊藤モデルの詳細

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伊藤は、論理的不適合がなるべく解決されたうえで構造的不適合が大きいほどユーモアにつながると考えた。

 

例文:道を歩いていた真面目そうな男が突然激しく転倒。よく見ると、体の下に凍った水溜りがあった。

・真面目そうな男→転んだ(論理的不適合。なんで転んだ?)

・凍った水溜りがあった(論理的不適合の解決。滑って転んだから。)

・「真面目そうな男」が「転んだ」(構造的不適合。真面目そうな男は通常転ばない)
もし「やんちゃな子供が転んだ」なら構造的不適合が小さい(やんちゃな子供は転びやすい)ため、ユーモアは減る。

 

5.ユーモア研究からみる「すべり笑い」

・バラエティ番組における「すべり笑い」は、「お笑い芸人は通常面白いことを言う」という常識からズレているためにユーモアが生起している。

・Sくんの話の場合は、Sくんが目を輝かせていたために「面白いことを言う」という予測が生まれ、そうならなかったというズレがユーモアを生んだ。

 

 

6.関係性の中で生じる「すべり笑い」

萩原(2012)が、話し手と聞き手の共犯で笑いが発生すると考えた。

バラエティ番組においては「客、視聴者を笑わせる」という目的があるため、話し手に対して大きめにうなずいたり半笑いしたりすることによって「これは面白い話だ」ということを伝えてみせる。

すべり笑いの場合は、逆に「今の話はつまらなかった」ということを沈黙によって表現し、客や視聴者を笑わせようとしている。

 

---ここまでレヴュー論文---

 

7.本当に人を笑わせるため?

ユーモア研究の論理は分かった。

でも素人の会話に明確な客や視聴者なんか居ない。

それなのに共犯をする理由がよくわからないため、どういう場面で共犯が起こるのかを確かめる。

 

研究室で何かビデオとかを見てて、

先生が笑うと、その場にいる学生たちが「先生が笑っているコンテクストで笑う」ことに気づいた。

 

例:

先生「(本当に)面白いねこれ」→学生「面白いですよね」

先生「(すべってて)ウケるね」→学生「ウケますね」

 

学生たちは本当に面白がっているかどうかにかかわらず、「面白がっていることをしている」のではないか。

 

これは誰かを笑わせるための笑いではない。

目的は何?

 

 

8.どうやら権力が関係していそう

フーコーの権力論から。

 

権力は快楽のゲームであり、上からくるのではなく下からくるものである。

つまり、先生の目を惹きつけたり先生を欺いたりするのが気持ちいいから、先生を偉い人として学生たちが権力づける(ために面白がることをする)。

 

そこには大きな権力(家父長制、ナショナリズム)は必要ない。

が、あると便利なので人々は利用する。

 

対等にみえる学生同士でも「面白い奴」と「面白くない奴」の権力づくりが行われていて、「面白い奴」を笑わせた方が気持ちいいので「面白い奴を面白い奴たらしめる」。

そのために、「面白い奴」のギャグに笑ってみせる。

 

先生と学生とでは「大きな権力」をもとにすれば対等ではないので、より気持ち良くなりやすい。

 

 

8.一見対等にみえる学生たちの権力ゲームを観察したい

調査法

ランダムに集めた学生たちで交流会を開いて、

・どこで権力を作っているのか

・どこで権力を利用しているのか

を相互行為分析で見出したい。

 

今までのが大丈夫であれば、調査法のアドバイス欲しいです・・・